現場レポートvol.2断熱改修の舞台裏 ─「見えない性能」を支える工事

名古屋市守山区・大森に建設中のモデルハウスでは、いよいよ「断熱改修」の工程に入りました。
外観やインテリアのように目には見えませんが、日々の暮らしの快適さを大きく左右する、非常に重要な工事です。今回は、その“見えない工事”の舞台裏をお届けします。
気流止め――すき間を塞ぐ、地味だけど非常に大切な工程
まず着手したのが「気流止め」の作業です。
築年数の経った住宅には、壁の中や床下、天井裏などに、見えないすき間風の通り道が数多く存在します。こうしたすき間があると、いくら高性能な断熱材を使っても、その効果は十分に発揮されません。
そこで、構造躯体の隙間や穴を一つひとつ丁寧にふさぎ、空気の流れを遮断する作業を行います。
このように目立たず地味な工程こそが、実は室内の温熱環境を安定させる基盤となるのです。
床・壁・天井へ――断熱材の再施工と適切な厚み
次に行ったのは、断熱材の再施工。
もともと使用されていたグラスウールには、経年による厚み不足や脱落が見られました。そのため、既存の断熱材をすべて撤去し、新たに高性能な断熱材を部位ごとに適切な厚みに調整して充填しました。
断熱材の性能は、単に“何を使うか”だけでなく、“どう施工するか”が非常に重要です。わずかなすき間や圧縮、ズレがあるだけで、冷気や熱気の侵入を許し、結果として室温の快適さに大きな差が生じます。
見えない部分にこそ、住まいの質を左右する大きな要素が詰まっているのです。
UA値という“数字の裏側”にあるもの
今回の改修では、外皮平均熱貫流率(UA値)で等級6相当を目指し、設計段階から断熱性能をしっかりと検討しています。
UA値とは、家全体の断熱性能を数値で“見える化”するための指標。たしかに、性能を客観的に把握する上で重要な数字です。
しかし、私たちが本当に大切にしているのは、その先にある**“体感としての快適さ”**です。
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足元が冷たくないこと
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部屋ごとの温度差が少ないこと
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冬でも陽だまりのようなぬくもりを感じられること
こうした肌で感じる心地よさこそが、快適な暮らしの本質だと考えています。
性能を高めるために必要なのは、正確な設計と、現場での丁寧な施工。その積み重ねが、数字だけでは測れない“住まいの質”を生み出していきます。