2024.12.02

平屋風の住まい方

#快適な住まいづくり
平屋風の住まい方

はじめに

「夫婦二人になったし、もうそんなに広さはいらないから平屋に住みたい」「階段の上り下りがだんだん大変になってきたので、一階で暮らしが完結できるようにしたい」——こうした声をよく耳にします。

かつては、家族の成長や将来の拡張を見越して、二階建てやマンションを選ぶのが一般的でした。実際に、初めて住宅を購入する際は家族構成を考慮して広さや部屋数を重視される方が多く、その後、お子さまが独立しご夫婦だけの暮らしとなったタイミングで「次は平屋がいい」と住み替えを考える方が増えてきました。

最近では、初めて家を購入する「一次取得層」にも、ライフスタイルの変化やシンプルな暮らしへの憧れから、平屋を選択する人が増加しています。では、なぜ平屋がこれほどまでに支持されているのでしょうか。

平屋の特徴と魅力

1. シンプルな生活動線

平屋の最大の魅力は、生活動線のシンプルさです。階段の上り下りがなく、すべてがワンフロアで完結するため、洗濯・掃除・食事の支度といった日々の家事もスムーズに行えます。年齢を重ねても、身体への負担が少なく、無理なく暮らしを続けられる安心感があります。

2. コミュニケーションのとりやすさ

すべての空間が同じフロアにあることで、家族の気配を感じやすくなり、自然とコミュニケーションが生まれやすいのも平屋の魅力です。特に夫婦だけの暮らしでは、必要な距離感を保ちつつも、心地よくつながれる空間設計がしやすくなります。一方で、プライバシーの確保には間取りや収納の工夫が求められます。

3. メンテナンスのしやすさ

構造がシンプルなため、外壁や屋根の点検・修繕も二階建てより手間がかかりにくく、メンテナンス費用も抑えやすい傾向にあります。老後を見据えた“持ち家の管理のしやすさ”という観点でも優れています。

4. 安全性の高さ

建物の高さが低く重心が安定しているため、地震や台風などの自然災害に対しても比較的強いのが平屋の特徴です。構造的にもシンプルなため、耐震性の確保もしやすくなります。

1階中心のリノベーションという選択

「平屋に住みたい」と思っても、すぐに建て替えや住み替えに踏み切るのは現実的に難しい場合もあります。住み慣れた土地を離れることへの抵抗や、資金面での課題も少なくありません。

そんなときに選ばれているのが、「今の住まいを活かしつつ、1階で暮らしが完結するようにリノベーションする」という方法です。実際、多くの戸建て住宅は1階にリビングやダイニング、キッチンなどのパブリック空間、2階に寝室などのプライベート空間がある間取りですが、1階に寝室を移すことで生活の大半が1階で完結でき、平屋のような暮らし方に近づけることが可能です。

リノベーションで気をつけたいポイント

1階に寝室を設ける場合には、いくつかの工夫が必要です。たとえば、日当たりや風通しをどう確保するか、また、通りに面している場合などはプライバシーの確保にも配慮しなければなりません。

また、今後の暮らしをより安心・快適にするためには、バリアフリー化も検討したいところです。段差をなくす、手すりを設置する、将来的には車椅子でも動きやすい動線を意識するといった視点も重要です。

そして忘れてはならないのが、断熱性・気密性の向上です。1階を中心に過ごす生活では、その空間が夏は涼しく冬は暖かく保たれることが、快適性と健康の両面でとても大切になります。窓やドアの断熱性能を高める、床下や壁に断熱材を追加するなどの改修は、冷暖房費の節約にもつながるため、長期的に見て非常に効果的です。

最後に

今の家を手放すことなく、住み慣れた環境を活かしながら、自分たちの今のライフスタイルに合った住まい方を実現する。これは、これからの暮らしをより豊かにする選択肢のひとつです。

「平屋のような暮らし」は、新築だけでなくリノベーションでも実現できます。限られたスペースの中にこそ、住む人の暮らしに寄り添った工夫が活きてきます。住まいを見直すことは、これからの暮らしを見つめ直すことでもあります。

今の住まいをもう一度見つめ直して、将来の自分たちのための暮らしづくり、始めてみませんか?