前回のブログでは、住宅における「断熱等級」についてお話しました。家の断熱性能には基準があり、それが時代とともに見直され、どんどん厳しくなっているということをご紹介しました。
しかし、「なんとなくわかったけれど、自分の家には関係ないかな」と感じている方も多いのではないでしょうか? 今回は、そういった方にこそ読んでいただきたい内容です。
「今、自分の住んでいる家の断熱性能って、実際どの程度なんだろう?」 そんな視点で、断熱性能の“現状”についてお話したいと思います。
まずはこちらの表をご覧ください。
LIXILカタログより引用
この表は、住宅の断熱性能を示す「断熱等級」の一覧で、前回のブログでも紹介しました。
注目したいのは、等級1〜3の部分です。
等級1:昭和55年(1980年)基準
等級3:平成4年(1992年)基準
この基準から考えると、築30〜40年の住宅は、おおむね断熱等級2以下に該当すると予想されます。つまり、「今の基準から見ると、断熱性能がとても低い住宅」に住んでいる方が多いということになります。
特に築40年以上の住宅では、壁の中に断熱材が入っていない「無断熱」の状態だったり、入っていても経年劣化で機能していなかったりすることが珍しくありません。 断熱材が土壁に埋もれていたり、床下に沈んでいたりして、測定不能なケースもあります。
こうした現状を踏まえて、2025年からは「断熱等級4」の基準が新築住宅に義務化される予定となっています。 これまでは“努力義務”にとどまっていたため、建築当時の基準を満たしていない住宅も多く存在しました。 ですが、今後は法律で基準が定められ、性能の低い住宅は建てられなくなっていきます。
なぜここまで国が断熱性能の向上に力を入れているのか? その背景には、日本の住宅が世界に比べて“とても断熱性能が低い”という実情があります。
環境省及び鳥取県生活環境部 くらしの安心局 住宅政策課 資料より
上の表で、今の日本の基準であるUA値0.87は断熱等級4に該当します。一方、ドイツやスウェーデンといった欧米諸国では、UA値が0.4〜0.6W/㎡・K程度が標準となっており、日本の等級6相当。 つまり、現在の日本の“最高等級クラス”が、欧米では“最低ライン”ということになります。
お分かりいただけると思いますが、日本の断熱に対する基準やそこから繋がってくる省エネの基準は、世界に比べてこれほどまでに低いのです。
日本の当たり前が世界ではすごく遅れているのですね。
こういった実情を知ると少しは断熱に対する重要性が増してきませんか?
これまで日本では、「断熱性能」は家づくりの中でも後回しにされがちでした。 「暖房器具があれば大丈夫」「少し寒いくらいは我慢できる」——そんな意識が根底にあったのかもしれません。
しかし、これからの家づくりにおいて、断熱性能は“必須の要素”になってきます。 快適な暮らしを手に入れるためだけでなく、光熱費の削減や健康リスクの軽減など、多くのメリットがあるからです。
次回は、「断熱性能を高めると、どんなメリットがあるのか?」「逆に、断熱性能が低いことでどんなリスクがあるのか?」といった内容をお届けしたいと思います。ぜひご覧ください。
2024.10.07
お孫さんが遊びに来ても、楽しく過ごせるLDK
2024.10.21
体験すること