MIYABIの断熱リフォーム　Vol.1

はじめに

近年、世界情勢の不安定化や円安、さらにはコロナ禍の影響などが重なり、私たちの生活はさまざまな面で変化を余儀なくされています。特に物価の上昇や光熱費の高騰は、日々の暮らしに少なからず影響を与えており、多くの方が家計のやりくりに頭を悩ませているのではないでしょうか。

そのような中で、「お家をリフォームしたい」「そろそろメンテナンスを検討したい」とご相談をいただけることに、私たちは大きな感謝の気持ちを持っています。リフォームは決して安い買い物ではありませんし、生活への影響も少なくありません。それでも「より良い暮らしを手に入れたい」「安心して住み続けたい」という思いを持ってくださることは、私たちにとって大変うれしいことです。

リフォームを考えるきっかけは、キッチンや浴室などの水まわりの老朽化、家族構成の変化、生活スタイルの見直しなど、ご家庭によってさまざまです。デザインの刷新や使い勝手の向上、そしてもちろん費用のバランスも大切な検討ポイントになるでしょう。

しかし今回は、もう一歩踏み込んで「家の性能」にもぜひ目を向けていただきたいというお話をさせていただきます。

家の性能

「性能の良い家」と聞くと、最新のデザインや高性能な設備をイメージされるかもしれません。確かにそういった要素も快適な暮らしをつくるうえで欠かせません。しかし、本当に長く快適に安心して暮らせる家とは、「目には見えにくいけれど、暮らしの質を支えてくれる性能」がしっかりしている家ではないでしょうか。

ここでいう家の性能とは、耐震性、断熱性、気密性、防火性、防犯性、省エネルギー性などを指します。

今後もこの家に何十年と住み続けていきたい、あるいは子どもや孫の世代に引き継いでいきたいとお考えの方であれば、これらの性能は非常に重要なポイントになります。特に築30年以上の住宅は、現在の建築基準に比べると、性能面で大きく劣っていることが多く、住み続ける中で不便さや不安を感じる原因にもなりかねません。

そのため、リフォームやメンテナンスの際には、デザインや費用と同じくらい「家の性能」も優先して考えていただきたいと思っています。

断熱について

実際にリフォームのご相談を受ける中で、多くのお客様が「冬になるととても寒い」とおっしゃいます。しかし一方で、「もう古い家だから仕方がないよね」とあきらめてしまっている方が多いのも事実です。築30～40年のお宅に長年住んでいらっしゃる方の中には、寒さに慣れてしまっていたり、家に断熱材が入っているかどうかさえもわからない、というケースも珍しくありません。

特に今の50代後半以降のご夫婦は、子育てがひと段落し、ご自身のために住まいを見直すタイミングでもあります。この時期にリフォームを考える方も多く、「せっかく手を入れるなら、快適で健康的な住まいにしたい」と希望されることが増えています。

かつては断熱に対する意識がそれほど高くなかった時代ですから、当然、今のような高性能な断熱材は使われていませんでした。しかし、だからこそ今、断熱性を見直すことに大きな意味があるのです。

断熱リフォームのすすめ

断熱リフォームとは、単に「寒くない家にする」ことだけが目的ではありません。健康的な暮らし、光熱費の削減、そして家そのものの寿命を延ばすことにもつながる、非常に効果的なリフォームです。

たとえば冬場、家の中でヒートショックが起きやすいのは浴室や脱衣所です。部分的にでも断熱性能を高めることで、こうしたリスクを大幅に軽減することができます。また、家全体を断熱することで、冷暖房効率が上がり、年間を通じて快適な温度が保ちやすくなります。

とはいえ、断熱の方法や使用する断熱材の種類はさまざまです。壁や床、天井に入れる方法、窓の性能を上げる方法など、お住まいの状況やご予算に合わせた最適なプランをご提案することができます。

「全体的に断熱性能を上げたい」「とりあえず寒さの厳しいところだけ改善したい」など、お考えやライフスタイルに応じて、無理なく進められる断熱リフォームもあります。今後のコラムでは、具体的な断熱方法や事例についてもご紹介していく予定ですので、ぜひご参考になさってください。

まとめ

「今の家にどこまで手を入れるべきか」「どこまで投資するべきか」と悩まれる方は多いと思います。ですが、例えば断熱性能が不十分なまま光熱費を払い続けるよりも、一定の費用をかけて住環境を改善することで、長期的には健康にも家計にも良い影響をもたらすことができます。

このコラムが、これからの住まい方やリフォームのあり方について考えるきっかけとなれば幸いです。そして、「性能のいい家」という視点を持つことで、より豊かで快適な暮らしを手に入れていただければと思います。

次回は、断熱材の種類や、それぞれの特徴について詳しくご紹介していく予定です。どうぞお楽しみに。